桟橋、それは〇〇と〇〇をつなぐ場所!
皆さんこんにちは! 大瀬戸町漁協です。
今日は大瀬戸町漁協の「桟橋」に注目してみたいと思います。ただの桟橋と思うなかれ、漁協の桟橋はじつはいろいろなことに使われているのですよ!
海と陸をつなぐ場所
そもそも桟橋とは何なのかというと、船が港に着岸するための場所です。
海は季節や時間帯により潮の満ち引きがあり、海面の高さが変わってしまいます。そうすると海に浮かぶ船と陸地に高低差ができてしまい、直接陸地に荷揚げすることはとても大変です。
その点、桟橋は海上に浮いているため、船との高低差ができません。高さを気にせず、いつでも同じように荷揚げができるのです。
このように「海と陸を効率的につなぐ」というのが桟橋のメインの役割です。
桟橋で積み下ろされる魚たち
大瀬戸町漁協の桟橋ではもちろん、荷揚げされるのは超新鮮な魚介類です。
夏から秋にかけて一先(イサキ)漁の季節です。今日も一先漁の船が着岸。
獲れたての新鮮な一先をその場で〆て積み下ろしています。
今季大漁の太刀魚も、桟橋に到着します。以前のブログで紹介したように太刀魚は箱で運ばれてきます。
さて、大瀬戸町漁協といえばタコですよね! 今年はシーズンが終わりましたが、夏の時期は毎日たくさんのタコたちがこの桟橋で積み下ろされました。
タコのシーズンは、桟橋に氷水の入った大きなコンテナが用意され、船が戻ってくるのを待ち構えています。タコはまず重量を記録してから、一気に氷水の中に入れられます。
毎日水揚げされるたくさんの魚たち。桟橋からは、軽トラックやフォークリフトで魚を陸の方へ運んでいきます。
お魚さん、こんにちは! 魚と人が出会う桟橋
桟橋で船を待ち受けるのは漁協職員だけではありません。
たまに、地元の子どもたちが見学に来ます。
これは今年7月に行われた土曜学習の様子です。たくさんの小学生たちが、一先漁の船のランプを見たり、船の水槽をのぞきこんで魚の様子を熱心に見学していました。
また、毎日たくさんの魚が揚がる大瀬戸町漁協には、たびたびメディア取材が入ります。
カメラマンも、獲れたての一番新鮮な瞬間を収めるべく、桟橋にやってきます。
この日はNBCの取材が入り、獲れたてキラキラの太刀魚を取材していましたよ!
桟橋がつなぐ、海の豊かさ
とある日、桟橋にいつもは置いていないモノが大量に置かれていました。
木ですね!
大きな流木が積まれ、袋の中も、小さな流木でいっぱい。
じつはこれ、海岸で集められたゴミが一時的にここで保管されているのです。
大瀬戸町漁協周辺では、この20年ほどで、豊かな海の象徴ともいえる藻場(海藻がたくさん生えている場所のこと)がどんどん減っています。
海藻が、ウニや魚に食べ尽くされてしまうのです。
こうして藻場がなくなってしまうことを「磯焼け」といいます
磯焼けした場所では、水質が悪くなってしまったり、魚たちが卵を産む場所がなくなって海の生物たちの多様性が減退してしまうことがわかっています。
まだ残っている数少ない藻場を守るため、漁師さんたちは「藻場育成会」を結成して様々な対策をしています。
その活動の一つが定期的な海岸のお掃除です。各場所から持ち帰ったゴミの集積所として、桟橋が活躍しています。
桟橋にこっそりぶら下がっているのは……
あれ? こんなところにロープが?
ある日、桟橋にロープがつながっていました。実はこのロープの先には……?
タコつぼがつながっていました。
実はこのタコつぼ、タコの産卵つぼなのです。
夏の間に海に投入していた産卵用のつぼですが、調査用に回収したものの中にまだ卵が残っていたため、ここで保護していたのです。
中をのぞいてみましょう。
つぼの奥に、貝殻に隠れてタコのお母さんがいるのがわかりますでしょうか?
タコのお母さんは、巣穴を守るため、貝殻を拾ってきて隠れる習性があります。この貝殻と黒いチューブはこのタコさんがどこかから拾ってきたものです。
つぼの中にくっついているゴマのようなツブツブがタコの卵です。
黒っぽい色なのはもう孵化が近い証拠。無事に赤ちゃんたちが産まれるといいですね。
***
桟橋は、日々の荷揚げ場というだけでなく、人と魚たちとの出会いの場であり、さらには豊かな海を守るためにもこっそりと大活躍している場所なのですね。