三倍体のカキ種を配布!〜永田式の養殖でチヌの食害を防ぐ〜
こんにちは、西彼町漁協です。年々、海水温の上昇やチヌの食害などの影響で漁獲量が減ってきているうず潮カキ。西彼町漁協ではこの状況をどうにかしたい!そして、うず潮カキの増産をめざして、三倍体マガキ導入へと最初の一歩を踏み出しました。
本格的に導入する前に、まずはモニターとしての取り組みで、4月26日に漁師さんたちへの説明会、そして10月30日にカキ種の配布会を行いました。
予約分のカキ種を配りました
西彼町漁協の組合員さんたちは、軽トラの荷台にある赤いネット袋に入った三倍体マガキのカキ種を順番に受け取りました。名簿を確認して予約していた数を受け取り、それぞれ持ち帰って海に沈めて養殖します。
ご覧ください!ホタテの貝殻の表面にある茶色の斑点がカキの種です。1つの貝に30個ぐらいのカキ種が付いています。
この小さいカキの赤ちゃんたちが、海の中で成長していきます。
「永田式」でチヌの食害を防ぐ
さて今回、西彼町漁協では「永田式」で三倍体カキを育ててみようということで、西彼町漁協組合員の永田大志さん(51才)にその養殖方法を教えていただきました。
永田さんは、5〜6年前から丸かごにカキ種を固定する独自の方法を考案し、取り入れています。従来のぶら下げ方式では、カキが成長する過程でチヌに食べられていましたが、この永田式の養殖方法に変えたことで、チヌによる食害を防ぐことができました。
「永田式」とは、海の中に入れたとき、かごの中の貝がプカプカ浮かんで来ないようにするため、種が多く付いている方を上に向けて貝殻にピンを通し、次にかごの底にピンを刺して固定する方法です。
かごに入れることでチヌの攻撃を防げますが、成長したカキがかごの裏側に食い込むことがあるため、3ヶ月ごとにカゴを交換して、安定したカキの成長を見守ります。
成長した貝は重くなり、かごの中に浮かばないので固定せず底に並べるだけでOK!このように交換作業の手間をなるべく軽くするためにタイミングや方法を工夫しています。
次回は3月頃に交換する予定です。
永田さんによると「かごに入れることでカキは成長を続けます。5月からのチヌの食害を避け、7月までは順調に育ちますが、海水温が上昇して30℃を超えるとカキの90%が死んでしまうこともあります。特に大村湾では水温が31℃に達したこともあり、カキが死んでしまうことが多いです。今年は80%が死んでしまいました」とのこと。
チヌの食害を防ぐことができても、カキが生息できる海水温の限界を感じているという永田さん。来年の夏、三倍体のカキがたくさん生き残ってくれますように!
地域の課題を研究しています
こちらのみなさんは、長崎大学水産学部の学生さんたちで、地域やグローバルな課題を研究題材とした問題解決型の体験学習を通じた研究に取り組んでいます。
「大村湾での三倍体カキの養殖が研究に使えるのではと思って見学にきました」ということで、カキ種を運んだり、かごに入れる作業を手伝ってくれました。
さいごに
三倍体のカキをかごに入れて養殖する「永田式」を取り入れることで、チヌの食害を防ぐことができますが、大村湾の海水温上昇に対してまだまだ難しいところもあります。
まずは、三倍体カキが無事に成長してくれるように、関係各所や漁師のみなさんと協力しながらできることを1つずつ取り組んでいきます。
西彼町漁協はみなさんにおいしい魚介類を提供できるよう、今日もがんばりますので、応援よろしくお願いします!