うず潮カキを増産したい!西彼町漁協の新しい挑戦

みなさんご無沙汰しております。西彼町漁協です!今年度もどうぞよろしくお願いします。

さて、西彼町漁協を代表する海産物といえば、うず潮カキと大村湾なまこ。他にも大村湾で獲れる魚種はいろいろありますが、残念ながら全体的に漁獲量が減っています。

「この状況をどうにかせんば!」と、日々いろんな取り組みに挑戦している西彼町漁協では、この度うず潮カキを増産するための新たな試みとして三倍体マガキを導入してみようと動き始めました。

三倍体マガキとは

三倍体って、三倍大きく育つの?育つのが三倍早いの?と思われるかもしれませんが、これは染色体の「三倍体」という名称です。天然のマガキは二倍体ですが、品種改良して染色体が1.5倍多いマガキのことを三倍体マガキといいます。

三倍体を作る技術は水産におけるバイオテクノロジーの1つで、通常は精子と卵が受精すると二倍体になるものが、受精するときに物理的刺激(水温、水圧など)を加えることで三倍体になります。

遺伝子そのものを変える技術ではないため、遺伝子組換えやゲノム編集技術とは区別してあります。

他にこの三倍体が利用されているもので、種無しブドウ、種無しスイカ、ニジマスやサーモンの養殖などがあります。

夏を乗り越えられるか

カキ種配布の様子

11月ごろ大村湾に沈められたカキ種が成長して収獲されるのは翌年の1月ごろ。

春に産卵した天然のカキは身が痩せて水っぽい「水ガキ」になり、体力がなく環境の変化に弱くなるため、夏場の高水温や台風時の水温の変化に対応できずに死んでしまったり、チヌによる食害で収獲できるカキの量がかなり減っています。

http://saikai-osakana.net/?p=5112 うず潮カキの現状

「カキをかごに入れるとか、食害の対策ができればうず潮カキがかなり生産できるんですが、かごを小まめに交換したり、ものすごく手間がかかるんです」と西彼町漁協職員の馬場さん。

三倍体マガキは、その特性上ほとんど卵を作らないので産卵によって栄養分を失うことがなく、うまみ成分をたっぷり蓄えているので、冬のシーズン初めから出荷できると期待がかかります。

二倍体と三倍体。どちらのカキであってもどれだけこの夏を乗り越えられるか、そしていかに生存率をアップできるかが増産のポイントになります。

やってみないとわからない

うず潮カキの養殖場

三倍体マガキの養殖、今年はまずモニターとして取り入れてみようと、4月26日に漁師さんに向けて説明会を行いました。7月に三倍体マガキのカキ種を入れて11月に収獲予定です。

夏を越せるかどうか、カキの生存率や漁獲量など、やってみないとわからないことばかり。

初めての試みに期待と不安もありますが、おいしいうず潮カキをみなさんにお届けできるよう、西彼町漁協は挑戦していきます!