液体で急速冷凍!?シマアジで実験&試食会

みなさんこんにちは、西海大崎漁協です!

漁業は自然を相手に営む仕事。漁に出るときは天候に左右され、漁獲量の減少、これまで旬とされていた時期のずれなど、いろいろと悩むこともあります。

また、魚は鮮度が命!ということで、お刺身に加工して販売される魚は、期限を過ぎると廃棄されるなどフードロスにもつながります。

どう解決していけるだろうか。何か加工品にして安定して商品を提供できないだろうか。という思いから、西海大崎で獲れるシアマジを使って、ある実験をスタートしました。

液体凍結機『凍眠』

左:凍眠に浸けている状態 / 右:冷凍後の状態

まず、以前から取り入れている技法「津本式」で血抜きをしたシマアジを真空パックに保存。次に、機械の中にパックごと浸して冷凍させます。

*西海大崎漁協ではまだ導入しておらず、実験&試食会のために今回、別の場所に設置してある液体凍結機『凍眠』を使わせていただきました。

通常の冷凍庫では「冷たい空気」によって冷凍しますが、この『凍眠』では「冷たい液体(-30℃のアルコール)」を使って冷凍します。画像のシマアジは、パックごと液体に浸けて約30分でカチコチ、冷凍状態になりました。

実験結果はいかに⁉︎

今回は、3枚におろした皮付き、皮無し、丸のままの状態を比べてみました。
使ったシマアジは2月7日に血抜きをして、翌日8日に冷凍、20日に解凍したものです。

真空パックに入れて解凍した状態

ご覧ください!約2週間経過したとは思えないほど、新鮮できれいな見た目に驚きました!
通常だと、冷凍庫から出して解凍した際、ドリップが出てしまう経験を多くの方がされていると思いますが、今回の『凍眠』を使った冷凍方法だと解凍後もまったくドリップが出ていません。

お刺身にして試食!

試食のために、中澤さんがお刺身にしました。
魚を切る際の感触は「やわらかかった」そうです。

3枚におろした皮付き
3枚におろした皮なし
丸のままの状態

比較した3種類のシマアジは、どれも見た目に差はありませんでした。
ちなみに、皮付きのままの2種類は皮がついている面に油が溜まって黄色味がかっていました。

試食してみての全体的な感想です!

【食感】冷凍したものを解凍した後の水っぽさや、細胞が崩れたようなボソボソ感がない!生臭さもなく、ちょっとした歯ごたえもある!

【見た目】色的に3種類を比べてみると、丸のままが一番きれい

【味】順位をつけるとしたら、①丸のまま、②3枚おろしの皮付き、③3枚おろしの皮なし。皮付きは空気が触れていないので一番いい状態だと思ったが、丸のままが甘味と旨みがあって一番美味しい!部位によっておいしさの差があり、3枚おろしの方は魚特有の苦味を少し感じる部分もあるようだった。どれも約2週間経過しているとは思えない鮮度で美味しかった!

今後に向けての期待

「今回は津本式の血抜きをして翌日に冷凍してみたが、次回は熟成したものを冷凍して比べてみたい」と、次の実験に向けて意気込む西海大崎漁協職員の中澤さん。

今回は実験用に冷凍していただいたため、西海大崎漁協に『凍眠』は導入されていませんが、西海市内、長崎県内のみならず、県外などより多くの方々に一番美味しい状態の魚をお届けするべく、素晴らしい機械の登場に期待が高まります!