冬も大瀬戸町漁協は大賑わい!アワビの赤ちゃんもいました
こんにちは! 大瀬戸町漁協です!
立春を過ぎたもののまだまだ寒さの残るこの季節ですが、大瀬戸町漁協には毎日いろいろな魚たちが水揚げされています。
ちょっと漁協の生け簀を覗いてみましょう!
こちらは立派なヒラス。体長70~80㎝程度あります。
体の横の黄色い線が美しいです。
隣にはたくさんの剣先イカもいました! カゴから飛び出しそうなほど元気にピョンピョンしています。その頭の先の剣の形から、さながら剣の舞のようです。
さらにアジの大群、そしてなんとウツボもいました。
ウツボは、長崎でスーパーに出回る魚ではありませんが、その身はコラーゲン豊富で鶏肉のようにしっとりしていて、四国では好んで食べられているそうです。
ウツボはクエと同じ場所に生息しているので、大瀬戸町漁協ではたびたび水揚げされています。
奥の生け簀に何かいる!!
さて、一番奥の生け簀にはいつもと違ってたくさんの網が入っています。この中には何がいるかというと・・・
アワビの稚貝です!
これらのアワビの稚貝は、水揚げされたものではなく、佐世保市の種苗センターからやってきたものです。
これから海へ放流するためにここで待機しているのです。
放流される稚貝は全部で10000個!
アワビの稚貝はその大きさによってお値段が違うそうですが、これら全部で80万円。こんなに小さいのに1個80円ほどで、すでに高級品の品格がありますね。
直径2.5㎝くらいでしょうか。お値段はともかく、一生懸命張り付いている様子がかわいいです。
殻が鮮やかな緑色ですね。これは、色を塗られているわけでも藻が生えてしまっているわけではありません。
種苗センターで養殖されているとき、アワビは珪藻という緑色の藻を食べていて、殻にそのまま色が出ているのです。
殻は、個体が大きくなるごとに年輪のように少しずつまわりにつけ足されるように大きくなっていくので、この赤ちゃんのときの緑色の部分はずっと残り続けます。
そのため、大きくなって水揚げされたときにその個体が放流したものかどうかがわかるそうです。
アワビのその後
アワビは、磯の岩場に張り付き、周りに生える藻を食べて生息しています。
「磯の鮑(アワビ)の片思い」ということわざがありますが、アワビはアサリのような二枚貝ではなく片面だけの一枚貝なのです。もう片面はぺったりと岩に張り付いているのですね。
これらの稚貝たちは、大瀬戸の海の4カ所に分けて放流されます。
放流といっても、棲息場所が磯なので、ただ海に放り込むわけではありません。
潮が引いた磯の岩のすき間に差し込むようにして放流します。
特に、大潮の引き潮のときが良いタイミングなのです。
稚貝放流をした後も、天下の高級貝アワビ、まだまだ見守りが必要です。
なぜかというと、密猟者がやってくることがあるのです……。
漁協職員は、漁師さんたちからの通報を受け、アワビの密漁者とおぼしき人間を見張ったり、海上保安庁や警察と連携して逮捕に協力したりする仕事もしています。
守りながら、漁をする
漁協に所属する漁師さんたちには、「漁業権」という権利があります。これは、特定の場所ではその漁師さんたちだけが漁業を営んでよいことになっている、ということです。
大瀬戸の海岸も、そのほとんどが漁業権で守られている区域です。
漁業権で定められているルールがあり、漁協に登録している漁師さん以外は、その海域で共同漁業権の対象となる水産物(ナマコ、アワビ、ウニ、その他海藻や貝など。長崎県の発行する許可証で定められています)を捕ってはいけません。大瀬戸名産のタコ、イセエビも勝手に捕ってはダメなのです。
漁業権は、漁師さん達を守るためでもありますが、適正な漁を行って「海の生き物たち」という資源を守るためのものでもあります。
保護のため、アワビは産卵期間である11月~12月は禁漁期間とされています。また、体長10㎝ほどになるまでは捕ってはいけないと長崎県の漁業調整規則により決められています。
小さな稚貝たちは、資源を守りながら上手につきあって漁をしていくことの大切さも教えてくれています。