大瀬戸のタコの話
こんにちは! 突然ですが、大瀬戸町漁協といえばタコ! 今回はタコにまつわるエトセトラをご紹介します!
8月26日朝、2000個ものタコの産卵つぼの投入が行われました。
これは、タコの産卵場所を海の中につくるという試みです。
ご覧の通り、このつぼにはひもがついていません。タコ漁とは違い、海に入れた後に回収しないからです。(一部調査のために回収するつぼもあります。)
これは大瀬戸の海で産まれ育つタコを増やすために行っています。
大瀬戸町は「ゑべす蛸」ブランドを掲げるタコの名産地。
そのタコを、今、漁協を挙げて守っています。
タコの一生
さて、大瀬戸町近海のマダコはこれからの時期は産卵期なのです。
タコの卵は、自然界では岩のすき間などに産み付けられます。
その卵が孵化するまで、親ダコがついて守っています。
無事孵化したタコたちは、五島灘の、海底に良質の砂がある海域で、貝類や甲殻類、小型の魚を食べて成長します。
大瀬戸町漁協で揚がるタコは体重が700gから2㎏、大きいものでは3㎏にもなります(3㎏超えはめったに見られません!)。
成長したタコは繁殖期と産卵期を迎え、9月頃、産卵した卵が孵化したのを見届けて一生を終えます。
タコ漁ってこんな漁
ここで、大瀬戸町で行われるタコ漁の歴史と漁法を紹介しましょう。
タコ漁の今昔
タコ漁が大瀬戸町福島郷で始まったのは昭和40年(西暦1965年)頃。
連なったタコつぼを海に投入して引き揚げるという漁法です。
当時は人力で、二人がかりでつぼを引き揚げていました。
ロープには、わらで編んだ縄をコールタールに漬けて強度を上げて使っていました。これはべたべたしてやりづらかったそう。
昭和40年代後半には巻き上げローラーが使われるようになり、ロープもナイロン製のものに変わっていきました。
つぼは陶器のかめつぼを使用していました。
しかし、かめつぼではタコに逃げられてしまうことも多かったため、プラスチック製の蓋つきのつぼが使用されるようになっていきました。
つぼの中に仕掛けがあり、タコが入ると蓋が閉まって閉じ込めることができるので効率的です。
でもタコがストレスを受けて足が切れてしまったり、捕りすぎてタコの数が減ってしまうなどのデメリットもありました。
他の地域ではプラスチックつぼが主流となった現在ですが、大瀬戸町では、タコの品質保持のためにもタコの数を守るためにもかめつぼの使用を続けています。
当たれば千金!タコ漁の運試し!!
そんなタコ漁は、県の許可をもらって4月~9月の間に行われます。
大瀬戸町では、5月~8月がメインシーズン。
このシーズンの最初に行われるのが、なんと「くじ引き」です。
大瀬戸町漁協にタコ漁師さんたちが集合し、くじでその年の漁域の割り当てを決めるのです。
実は五島灘の海域には、メッチャ獲れる黄金の領域があり、そこに割り当たればその年は〇△万円!ヒャッホー!な海域なのです。
皆そこを狙って渾身の一手でくじを引きます。
これがその黄金の「壱番」くじ!!
くじは漁協職員さんたちの手で毎年作り直され、不正がないように金庫で管理しています。
ゑべす蛸を守りたい
しかし大瀬戸町のタコたちにピンチが訪れています。
以前は毎年100トンもの漁獲高がありましたが、それが5年前に激減しました。
理由はわかっていません。
地上から見れば、特に大きな出来事があったわけではないのです。
しかしその年から、漁獲高はほぼ半分程度になってしまいました。
タコ漁を行う漁師さんも減り、大瀬戸ゑべす蛸のピンチが訪れています。
大瀬戸町漁協ではタコ保護のため、産卵つぼ投入のほか、漁で揚がった抱卵つぼ(タコの卵が入っている)の保護と放流、水中ロボットによる海中調査の試み、新しいタコつぼの試作などを行っています。
さらに、捕りすぎ防止のため蓋つきプラスチックのつぼの使用を制限する保護区域を設けています。
その領域でプラスチックつぼを使ってしまえば、タコはもう海からいなくなってしまうかもしれないといいます。
タコという資源を未来に残すため、大瀬戸町漁協職員は今日も奔走しています。