うず潮カキ〜販路開拓のウラ話

こんにちは、西彼町漁協です。
先週末はすごい大雪でしたね。大きな雪だるまをあちらこちらで見かけました。

こんな冬の厳しい寒さがあるからこそ、冷たい海水が大好きな大村湾ナマコはすくすくと成長し、身に適度な歯ごたえが生まれ、うず潮カキは旨味の元であるグリコーゲンが蓄えられ、濃厚でクリーミーな味になっていきます。

今シーズン、残念ながら収獲量があまり伸びていないので大村湾ナマコの話題をなかなかお届けできないのですが、今回は、うず潮カキについて西彼町漁協スタッフ馬場さんに伺った「販路開拓のウラ話」をお送りします!

カキがない地域に営業へ

長崎県内では、あちらこちらでカキの養殖が行われ、各地にカキ小屋があるので足を運んだり、直売所やスーパーで購入できる身近な食材として、カキを当たり前のように見かけ、家庭でも食べますよね。

なので、カキが出回らない、そもそもカキを食べる習慣がないという地域があるなんて考えもつきませんでした。しかし、西彼町漁協の馬場さんはそういった地域へ足を運び、味のいいうず潮カキの営業を行っています。

宮崎県西都市HPより

その営業先とは、西海市の姉妹都市である宮崎県西都市。西都市は宮崎県のほぼ中央に位置する人口約29,000人(令和2年12月時点)の市で、周囲には海がありません。7年前に「西都市にはカキがないから行きましょう」と、西海市役所の紹介で一緒に西都市を訪れたことをきっかけに、毎年西都市の直売所へ営業に行くようになりました。

どうやったら売れるのか?

宮崎県西都市で、うず潮カキの営業を始めたものの、そもそもカキを食べるという習慣があまりないこの地域で、どうやったらうず潮カキが売れるのか?
うず潮カキの味がいいことはわかっているけど、認知度を上げるにはどうしたらいいか?

そこで、西彼町漁協の馬場さんは、うず潮カキの生産者さんを現地に一緒に連れて行き、現地の直売所の人や、興味を持ったお客さんに「何かあったらこの人に聞いてください」と、直接対応してもらうようにすると、これがとてもいい効果に。

うず潮カキの食べ方、料理の仕方、扱い方など、お客さんが生産者に直接質問できる、話を聞けることがとても喜ばれ、カキ焼きをするとさらに喜んでもらうことができ、なんと1日に700kgのうず潮カキが売れました。

喜びの循環

西彼町漁協スタッフ・馬場忠士さん

「うず潮カキの営業をさせてもらう直売所、普通は準備などはすべて自分たちでやらないといけないところを、直売所の人たちが何でも手伝ってくれるんです。

嬉しいんですよね。一生懸命うず潮カキを売れば、お客さんがたくさん来てくれて、そして直売所の売り上げも上がるから、現場の人たちはその気持ちで動いてくれるんです。

こっちも気持ちを大切にしたいから、うず潮カキを直売所の現場の人に『どうぞ食べてください』って配るんですよ。するととても喜んでもらえる。

すべてにおいて、現場で販売する人、消費者、生産者、漁協、に喜んでもらえるような流れを作る。そうすればみんながハッピーですよね」と馬場さん。

喜びの循環が生まれることで、うず潮カキのファンが増えますね!

本当に喜ばれるところへ届ける

うず潮カキの販売会をしている直売所「JAさいと いっちゃが広場」

JAとのつながりで始まった西都市でのうず潮カキ販売。最初は1ヶ所の店舗で行った販売会も、販売の工夫と努力で得られた信頼関係によって2か所になり、今後さらに店舗数が増えようとしています。

毎年1月から3月の期間に4、5回行われる販売会では、対面だからこそ気持ちを大切にする売り方ができるのですが、新型コロナの影響で今年は直接、現地へ行っての販売会ができなくなりました。今年は販売会の分を西彼町漁協ですべて箱詰めして、現地へ発送します。

「西都市でカキと言えば『西海市のうず潮カキ』と言われるように話題性を作って、本当に喜ばれるところでナンバーワンになればいい」と話す馬場さんの2年後の目標は、高速道路のラインに沿って店舗数を5つに増やすことだそうです。

販路開拓の秘訣は、喜びの循環にあり!